最近、賃貸事業再生の手段の一つとして完全に定着してきた印象の
リノベーション。
様々な業者が、知恵を絞りアイデアをひねり出し、商品が多様化してきた。
価格や施工方法、工期やターゲット、工事後の事業期間を考慮すれば、
当然の状況ではあるが、ネットや業界紙で取り上げられている業者の
真似をしても必ずしも成功といえる結果が出ない可能性も大きい。
やはり地域ごとの特徴は、重要な検討項目。
大都市圏のリノベーション案件の事例を見ると、築年数が
30~40年位経過した物もある。現地を確認したわけではないが、
様々な原因で建て替えが困難な為、賃貸事業をより長く続ける方法として
リノベーションという手段を講じている物件も多いのではないか。
また、賃料も地方と比較すると高額である。
そうなると、お金の価値観がまったく変わってくる。
返済が無い物件用のリノベーションと元本がほとんど残っている物件の
リノベーションは、オーナーの精神的な負荷の部分でまったく違う。
残債が無くリノベーションの工事費のみを返済すればよいオーナーは、
『低額リノベーションで決まれば儲けもの、ダメならもう少し手を入れればいい』
という前向きな気持ちで工事の依頼が出来る。
しかし、元本がほとんど残っているような物件のオーナーは、
すでに崖っぷちで失敗が許されない状況の為、心に余裕がなく
冷静な判断が出来なくなってしまう。
失敗が許されないほどギリギリの状況では、新たな借り入れは
とにかく安く低額に抑えたいとなる。
すると、結果として工事を行っても中途半端な仕上がりとなり、なかなか空室が
埋まらないという負の連鎖が起こる。
全国的に、10%以上の部屋が空いており、さらに賃料が下落傾向である
ことを考慮すれば、事業計画は大幅な見直しが必要となる。
ネットや業界紙の情報を正確に理解しなければ、間違った判断を
してしまうことになる。
そもそも、大都市圏の空室ってどの地域にどのくらいあるのか?
築年数や間取、広さ、周辺環境、入居者のニーズ、入居者ターゲットは?
リノベーション会社の成功事例は、どの地域のどんなターゲットによって
えられたのか?
おそらく、物件の性能や決まらない理由は、大都市圏と地方ではかなりの違いがある。
例えば、成功事例を調べたら入居者したのは学生だった。
自分が所有している物件は、立地的に学生は見込めない。
このリノベーションは所有物件には適さないかも?
3点ユニットを分離すれさえすれば成約率があがるとマーケティングによって
わかっていれば、分離工事をしただけで成功事例となり得る。
しかし、現在の地方の空室は、築年数も新しく、構造もRC造、広さもあり
バス・トイレは別になっているにもかかわらず、空室が埋まらない物件が多い。
既存のバス・トイレ別の物件が長期空室になっている状況では、分離工事を
するだけでは空室対策として力不足なことが分かる。
立地や賃料を別にすれば、入居者が住みたいと思うのは地方の空室物件だろう。
しかし、賃貸需要が大都市圏に集中していて、賃料が下がりにくい状況があり、
また、景気の悪化で賃料に掛けられる費用が抑えられている為、
狭くて古い物件は賃料の安さを売りにすることで需要が生まれる。
そもそも賃貸事業主にとって良い物件とは、建築費用が安く
安定して収益を上げられる物件だと思う。
所有しているだけで、ステータスとなるような物件であればなおよい。
入居者にとって良い物件は広くて安くて設備がそろっている物件となるが、
大都市圏で探す入居者は予算の都合で多くの妥協を強いられており、
おそらく予算内の物件は似たような物件が多いのだろう。
心境としては『住みたくても住めない。しょうがないこの辺で決めよう』
しかし、地方の場合は予算の都合で妥協することは少なく、また気に入った物件が
見つかるまでは親元にいることもできたり、更新料がない物件も多く、
車があればある程度の距離は通勤できる。
心境としては『もっと条件のいい物件ありそう。もう少し探してみよう』
他の物件との差別化、原状回復費用の軽減、入居者目線の使いやすさ、
稼働率や賃料の回復等リノベーションには様々な効果が期待できる。
しかし、地域ごとの需要と供給のバランス、ターゲットやニーズを
正確に見極めなめれば、事業再生は難しい。
やはり、問題を解決するには自ら考え知恵を絞ることが、一番の近道ではないだろうか。
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